カジノ法案大詰めで、候補地の誘致合戦始まる予感

現在、国会では公文書の隠蔽、改ざん問題で国会は大荒れ状態です。こんな中の4月4日にIR(カジノを含む統合型リゾート)実施法案の骨格が政府内で固まりました。具体的な骨子の中身は次のとおりです。

(法案骨子)
① 日本人がカジノに入場する際に徴収する入場料を「6千円」とする。
② IRの整備箇所数を「全国3ヶ所」とする。
③ 箇所数の上限を見直す時期は、7年後とする。
④ 日本人および在日外国人のカジノ入場回数を週3回かつ月10回に制限する。⑤ IRにおけるカジノ面積を全体の3%以下とする。

尚、訪日外国人観光客には入場料および回数制限など課されない方針となっています。カジノがマネーロンダリング(資金洗浄)の場として利用されることを防ぐため、入場時にパスポートによる身元確認が行われます。日本人の回数制限は、マイナンバーカードを使用して行う計画です。

野党側は、ギャンブル依存症への懸念から、対策としての厳格な規制を定めるまでは、成立を阻止する構えを見せています。また、一部野党は、そもそもカジノに大反対しています。

法案の成立が、今国会で通るか否かは見通せませんが、IR法案は、訪日外国人の数を増やし、インバウンド収入を上げたい政府にとっては、遅かれ早かれ成立する法案だと思われます。

こんな中、法案の骨子が固まった状況を見極め、まだ法案が成立していない中、多くの自治体では、誘致合戦の準備を開始しています。統合型リゾートによる訪日外国人の増加やカジノによる税収入の増加は、過疎化や税収不足に悩む地方自治体にとっては、今世紀最後のビックチャンスかもしれません

従来は、大阪や東京が候補地として想定されていたようですが、ここに来て全国各地から候補地の名乗りが上がっています。特に今回、候補地が全国3か所と従来の総数より減ったことから、誘致に拍車がかかることが予想されます。今回の候補から外れれば、次の選考は7年後となる為、自治体によっては何としても今回候補地に指名されたいと願っています。

現在の候補地は、大都市部では、以下の場所があります。

大阪「夢洲(ゆめしま)」

2008年の大阪五輪誘致を目指し、競技場、選手村として利用する計画を立てていた場所です。埋立地である人工島です。2008年の五輪誘致は北京に決定し計画は頓挫しました。誘致失敗後、100ヘクタールを超える広大な土地の活用法が決まらないままでした。「大阪の負の遺産」とまで言われてきた夢洲を、今回、IR(カジノを含む統合型リゾート)、そして2025年万博の誘致に成功すれば、負の遺産から一転、関西経済の起爆剤となりうるのではないかと期待されています。

東京「お台場」

東京は「お台場」を候補地としています。 一時は誘致レースから脱落したと言われていましたが、小池都知事がIR誘致に積極的な構えをみせていることから再び有力地として浮上しています。お台場は、フジテレビやレゴランドなどさまざま施設が立ち並び、レインボーブリッジの夜景も見ることができ、近年は外国人観光客からも人気の観光エリアとなっています。カジノ誘致場所として有力視されているのは、お台場の中でも青梅エリアです。

横浜「山下ふ頭」

当初、最有力候補といわれるほど積極的な姿勢を見せていたものの、現在は市民の反対が7割近くにのぼるなどかなりの逆境にあるようです。横浜市は2020年の東京五輪に合わせ、山下ふ頭を新たな観光地とするべく再開発に乗り出すことを決めています。この再開発計画がIR(カジノを含む統合型リゾート)構想と重なる部分が多いこと、また市街部からほどよく離れた場所に47ヘクタールという十分な面積があるという立地面の良さからもIR誘致の候補地として有力視されています。

名古屋「中部国際空港島」(常滑市)

まだ、自治体としての立候補表明はなされていませんが、有力な研究会がIRの建設の提言を取りまとめ、愛知県の大村知事に提出しています。愛知県は研究会で行われた議論を具体的なものにするべく、今年度中に民間事業者への聞き取りを行い、また社会基盤の調査もしたうえで県のIRに対する考え方を、誘致の是非も含めて公表する方針です。

大都市部以外では、長崎県がハウステンボス周辺への誘致を計画しています。和歌山県も誘致に名乗りを上げています。北海道は、苫小牧、釧路、留寿都が候補地として外資の導入も視野に積極的に活動をしています。千葉沖縄も候補地として運動展開しています。

ただ、日本人が1回6,000 円の入場料を支払ってカジノをするのか疑問はあります。1回くらいは話のタネに行くかもしれませんが、通い詰めるにもお金が掛かり過ぎます。パチンコや公営ギャンブルは揃っている訳ですし、どのようなニーズを国内で拾っていくのかはよく分かりません。

個人的には、候補地は都市部以外の場所が良いのではないかと思います。必要な依存症対策を十分施した上で、地方自治体の過疎対策の起爆剤になってほしいと思います。

 

 

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