シニア世代が起業するなら、断然「合同会社」その4

合同会社のスリムな会社運営 (会社の意思決定)
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合同会社は、会社組織として非常にスリムな構成をとることが出来ます。会社の組織を選択し決定することを「会社の機関設計」を行う、といいます。  株式会社の場合、どんなに最小単位の機関設計をめざしても、会社法の制約から、「株主総会」と「取締役」は、設計上設置が必須となってきます。一方、合同会社はこの最小機関すら設置不要です。(もちろん、必要であれば、設置することは可能です。)

つまり、合同会社の会社の運営は、社員 ( 株式会社で言うところの「株主」です。) が会社の運営を全て取り仕切ることが可能となるのです。思ったことをスピーディに決定し、実行に移すことが可能となります。機動性のある会社運営ができます。

合同会社の会社運営は、社員が、原則として、業務執行社員となり、かつ代表社員となって行います。業務執行社員は、会社の日常業務を実際に行う者です。代表社員は、会社の対外的な代表権を持って法律上の行為を行う者です。例えば、契約書に会社の代表として押印するとか裁判で代表社員の名前で訴えたり訴えられたりすることです。

もちろん、社員が複数いる (会社を複数の方と立ち上げた場合等です。)場合、社員を色分けして、社員の内から業務を執行する社員とそうでない社員に分けることもできます。また、業務執行社員の中から特定の社員のみを会社を代表する社員 とすることもできます。

ちなみに、シニアの中には、会社を折角立ち上げたのだから、名刺には、「〇〇会社  代表取締役 社長   山田太郎」としたい方もいるかもしれません。株式会社を設立すれば、代表取締役は機関設計上必須ですので、普通このような名刺記載になります。

合同会社の場合でも「〇〇合同会社 代表社員 社長 山田太郎」とすることは、問題ありません。但し、定款に社長の定義を定めておくことが必要となります。

合同会社の会社運営は、社員が日々の業務を執行し、会社を代表して活動できることになります。会社にとって何か重要な決定をする場合、株主総会を招集してその議に諮る必要はありません。また、多くの株式会社には「監査役」と呼ばれるお目付け役が設置されていますが、監査役のチェックを受ける必要もありません。つまり、会社運営上、スピーディーな意思決定ができることが、大きなメリットとなります

合同会社のスリムな会社運営 (その他)

会社運営にとって、結構費用がかかるものが、「決算公告」です。企業は、通常年一回、会社の営業活動の成果を公表します。会社の貸借対照表や損益計算書等を官報などに掲載して公表します。これが決算公告です。

合同会社では、この決算公告義務がありません。官報に掲載する場合、小さな囲み記事でも6万円くらいの費用が掛かります。毎年のコスト削減としては、大きいと思います。

合同会社の会社内部の規律 (会社運営方法のルール決め) は、定款で定めれは、大抵のことが可能となります。株式会社の場合も定款に定めれば、ある程度の自由設計は可能ですが、会社法の規制がかなりある為、自由度にかなりの制約があります。

住宅設計に例えれば、ある程度設計パターンが決まっているプレハブ住宅と完全自由設計のオーダーメイド住宅みたいな違いとなります。この居間の柱を取って居間を広くしてほしいと言っても、構造設計上の制約から無理ですと言われることと似ています。会社法によって株式会社の内部規律は、根本的な部分は大きく変更することが出来ないようになっています。

もちろん、合同会社独特の制約が一部あります。これは、定款で定めても変更できません。例えば、少し難しいですが、「合同会社は自己持分を取得できない。」とか「合同は臨時決算ができない。」とかがあります。しかし、小規模な会社を立ち上げる場合、ほとんど問題にはならないと思います。

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